その思いが 日本と朝鮮の人々のミライをつくる
その一歩が 日本と朝鮮を繋げるトビラをひらく

「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典」
に学ぶ

 たんぽぽ舎のメルマガに寄稿した文章を掲載いたします。

 9月1日、墨田区横網町公園内で「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典」が行われた。この式典は、大震災直後の流言飛語により命を奪われた朝鮮人犠牲者の追悼と、二度とこのようなことを招かず、悲惨な歴史的事実から目を背けないことを誓う式典である。
 しかし、2017年以降、歴代の都知事が送付していた追悼文の送付を小池都知事が取りやめた。また、同じく2017年から、保守系団体「そよ風」が同日同時刻に「真実の関東大震災石原町犠牲者慰霊祭」を開催し、朝鮮人に対するヘイトスピーチを繰り返し、昨年の集会における参加者の発言は東京都に「ヘイトスピーチ」として認定されていた。

 今年の式典は、新型コロナ感染拡大を防ぐため、関係者のみで行われたが、ヘイト認定を受けた慰霊祭がどのように行われているのか気になり、式典関係者にご迷惑がかからぬよう遠巻きに現地を訪問した。
 双方の間にはフェンスが設けられ、各所に警察官が立ち、双方が極力接触しないような警戒態勢が敷かれていた。「そよ風」側のマイクの音量も抑えられており、遠巻きからは彼らが何を話しているのか聞こえなかった。そういった点では、今年は彼らの活動を一歩後退させることはできたものと思う。

 ただし、それでも2017年以前の状況に比べれば、追悼式典のすぐ横で別団体の慰霊祭が行われている状況、そして、東京都知事から追悼文の送付がこないことは大きな問題である。「追悼式」が掲げる「犠牲者への追悼と歴史的事実から目を背けないことを誓う」という思いから大きくかけ離れた状況を今一度認識しなくてはならない。

 3年後の2023年には、関東大震災から100年を迎える。こうした中で、今まで「追悼式典」が掲げてきた“思い”と“事実”を拡散する活動を進め、これまでよりも多くの追悼の意を送ることのできる節目を迎えられることを願う。

関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典の様子